日本植民地教育史研究会

日本植民地教育史研究会のサイトへようこそ。本研究会は1997年3月29日に設立されました。

日本植民地教育史研究会第27回研究大会は、
対面(@東洋大学)とZOOMのハイブリッド形式で開催いたします。

日程:2024年3月16日(土)

対面会場: 東洋大学(白山キャンパス6312教室   *6号館
(西門が便利です)

【会員の皆さんへ】
当日までに、参加形式(対面 or オンライン)についてお問い合わせする可能性があります。その際は、ご協力をよろしくお願いいたします。
・zoomのURLや発表の配付資料は、開催日直前に、会員全員にメール配信します。
・zoomのURLや配付資料は、外部に出さないようにしてください。(転載・転送不可)

※ オンラインでご参加される場合は、当日、直接Zoomにアクセスしてください。その際、会員名簿にご登録のお名前の表記でご表示くださるようお願いいたします。

【非会員の皆さんへ】
・参加ご希望の方は、申込フォームより、3月14日23:59までにお申し込みください。
・大会前日をめどに、zoomのURLやお願い事項などをお送りします。


<3月16日(土)タイムテーブル>
  • 9:30〜 開会の挨拶
  • 9:35〜10:20 研究発表1 楊慧会員(神戸大学大学院生)
  • 10:20〜11:05 研究発表2 合津美穂会員(信州大学非常勤講師)
  • 11:05〜11:50 研究発表3 王詩淇会員(九州大学大学院生)

  • 13:00〜16:00 【シンポジウム】満洲・満洲国教育研究の固有性と独自性を考える          (佐藤広美会員・宇賀神一会員・山本一生会員・丸山剛会員)
  • 16:00〜17:00 総会

***(午前)研究発表***

発表1)楊慧(神戸大学大学院生)
発表テーマ:日本占領下の天津の中国人市民向けの音楽活動
【発表要旨】
 戦時中の天津は、日満中三地を結ぶ華北地域の要衝であり、華北駐屯軍が駐在していた大本営となっていた。そのため、日本占領下の天津における音楽教育活動の実態は、日本が中国華北地域に対して行った教育政策の一環を反映し、また、天津に暮らしていた青少年の音楽生活も示している。本研究は二つの部分から検討される。まず、教師への育成方針や教科書の修正など、学校内の音楽状況を分析する。そして、日本軍への慰問や記念イベントを祝うために行われた学芸会や交歓会の中で演奏された曲目や参加者などを詳しく分析する。 


発表2)合津美穂(信州大学非常勤講師)
発表テーマ:地方農村地域における台湾公学校児童の学習状況-学籍簿を史料として-
【発表要旨】
 これまで台湾の公学校教育については、制度的側面に関する研究や国語教科書をはじめとする教材、とりわけ国語科については教授法に関する研究が蓄積されてきた。一方、教育の受け手である児童の学習の側面に関わる問題の解明が遅れている。本発表では、地方農村地域の公学校3校の学籍簿に記載された学業成績欄を手がかりとして、児童が学んだ教科目とそれらの成績について検討し、学習状況の一端を明らかにすることを試みたい。


発表3)王詩淇(九州大学大学院生)
発表テーマ:「満洲国」在住日本人初等学校第一・二学年の日本語教科書に描かれた日本人像-新学制後の『満洲補充読本』を中心に-
【発表要旨】
 本報告では、「満洲国」在住日本人初等学校で使われた日本語教科書に焦点を当てて、その中の日本人像の特徴を分析する。具体的に、教科書における「日本人像」を皇室、為政者、官僚・役人などに分類した上それぞれの特徴を探求する。更に、他の民族の初等学校との比較を通じて、在住日本人初等学校の日本語教科書の特徴を考察しつつ、その裏にどのような日本の対在住日本人の教育政策の狙いが潜んでいるのかを明らかにする。また、これらの比較分析を踏まえたうえ、日本語教科書を通じてその作成背景として存在していた「満洲国」の教育政策や民族政策などが如何に教科書に反映されているかについても分析を加えたい。


***(午後)シンポジウム概要***

テーマ:「満洲・満洲国」教育史研究の固有性と独自性を考える


開催趣旨)佐藤 広美 会員(東京家政学院大学名誉教授)
  • 私は、「満洲・満洲国」教育史研究の専門外の人間だが、素人ゆえにか、その魅力を率直に感じることができるのかも知れない。朝鮮植民地教育史、台湾植民地教育史研究と言いながら、満洲植民地教育史と聞くことがあまりないのは、なぜか。そこには深い理由がありそうだ。なぜ、満洲には、在住日本人子弟のために現地で作られた国語教科書『満洲補充読本』があるのか。台湾や朝鮮の日本人子弟には国定教科書があてがわれたのに。満洲だけに作られた特別の原因があるのかも知れない。野村章は満州を「大東亜教育」の構想を現実のものとする「先導的試行」の場所と考えた。満洲在住の日本人こそ、大東亜教育を担う人間にふさわしいという、その考えが早くに出来上がり、『満洲補充読本』が作られたという類推が可能となる。
  •  磯田一雄は、『満洲補充読本』を作った石森延男に注目し、石森における、満洲、国民学校期、そして、戦後教育改革期の思想を検討した。植民地満洲―戦時下ファシズム期―戦後改革に通底する石森の思想(その複雑性と融通無碍)を露わにした。満洲教育史研究の一筋縄ではいかない、複雑性を厭わない覚悟を教えた。満洲教育の体験が戦後教育改革に生かされてしまうという、その「政治的な謎」の解明を窺う。
  •  さらに、満洲移民、引揚者、そして、満蒙開拓青少年義勇軍の研究(上笙一郎・白取道博)がある。公教育(教師が満洲に青少年を送り出す)と密接な関連を有し、軍事史研究の一環ともなる、この分野の研究が、「満洲・満洲国」教育史とどのような関連で解けばよいのか。いまだ、その関連(軍事と植民地教育)を真正面から説く者がいるのだろうか。
  •  竹中憲一の「(教育制度)基礎研究」「教科書資料編纂」「オーラルヒストリー(民衆の聞き取り)」など、悉皆調査の(孤独で地道な)姿勢。槻木瑞生にみる植民地教育史研究の主流(?)に対する、あれこれと多角的な視点をぶつける孤高さ。満洲にいち早く「開発国家」「開発主義」を見て取った職業技術教育研究者の原正敏に、何を学ぶか。
  •  「満洲・満洲国」教育史研究の「固有性」「独自性」を強く意識して、「整理」を超えて、その魅力を議論できることを願っている。

報告1)宇賀神 一 会員(西九州大学)
「竹中憲一の仕事―満洲教育の基礎的研究を中心に」

「年報」第24号で竹中憲一著『満州教育史論集』(緑蔭書房、2019年)を紹介した際、「『満州』で展開された教育を考える場合、いつの時期を対象にするか、どの地域に注目するかにより様相が異なるため多角的な必要になる。そうした『満州』教育史をめぐり。著者の関心は広範である」(215頁)と書いた。発表では、制度的な基礎情報の整理、教科書の復刻、インタビュー調査など「広範」な竹中氏の仕事を跡づけていく。

報告2)山本 一生 会員(東洋大学)
「槻木瑞生の仕事-民衆の「心のひだ」に分け入る満洲教育史」

槻木瑞生は「日本旧植民地における教育-1920年代の「満州」における中国人教育を中心として」(『名古屋大學教育學部紀要教育学科』20号、1973年)を発表して以来、確認できた限りで69本(うち満洲教育史47本、朝鮮族14本、仏教8本)の満洲教育史関連論文を発表し、精力的に研究してきた。槻木の目線は日本/中国といった国家間同士の関係ではなく、地域に住む具体的な人々に注がれた。槻木は度々、「心のひだ」という表現でこの目線を語っている。そこで本報告では「心のひだ」を通して、槻木が行った研究の意義を捉え直すことを目的とする。

報告3)丸山 剛史 会員(宇都宮大学)
「原正敏の仕事-職業技術教育史研究はなぜ満洲に関心を寄せたのか」

故・原正敏は、『日本近代教育百年史』の「産業教育」編の原稿を執筆するため、日本における工業教育、技術教育に関する営みを調査し、資料収集を行った。その際に、軍と植民地について検討する必要性を感じたという。その後もこの課題意識は保持され、東京大学から静岡大学を経て、千葉大学に配置換えとなった頃、関係者と接触するようになり、科学研究費を得て研究が本格化していった。名古屋大学教育学部技術教育学研究室編集・発行『技術教育学研究』誌に掲載された論考がその集大成的性格をもつ論文である。報告では、原の研究の軌跡をたどりながら、シンポジウムのねらいに接近していきたい。

下記の通り、日本植民地教育史研究会第50回定例研究会を開催いたします。

日程:2023年11月12日(日)13:00~17:10 
対面・Zoomハイブリッド開催

対面会場:東洋大学白山キャンパス 6号館 6215教室
[交通アクセス]
https://www.toyo.ac.jp/nyushi/about/campus/hakusan/access.html

【会員の皆さんへ】
  • 当日までに、参加形式(対面 or オンライン)についてお問い合わせする可能性があります。その際は、ご協力をよろしくお願いいたします。
  • zoomのURLや発表の配付資料は、開催日直前に、会員全員にメール配信します
  • zoomのURLや配付資料は、外部に出さないようにしてください。(転載・転送不可)
※ オンラインでご参加される場合は、当日、直接Zoomにアクセスしてください。その際、会員名簿にご登録のお名前の表記でご表示くださるようお願いいたします。

【非会員の方へ】
  • 申込フォームへのご記入をお願いいたします。
  • 対面でご参加ご希望の方は11月9日(木)23:59、オンラインで参加ご希望の方は11月11日(土)12:00までにご回答をお願いいたします。
  • 対面でご参加ご希望の方は、お申込みを済ませてから、当日直接会場までお越しください。
  • オンラインで参加ご希望の方には、大会前日をめどに、zoomのURLやお願い事項などをお送りします。

《プログラム》時間に変更があります(11/1)
  • 1230 Zoom開場
  • 1300 開会の挨拶(岡部代表)
  • 130514:25 自由報告1(田中寛会員)

                「日本軍政期インドネシアにおける日本語教育「ジャワ新聞」掲載記事を中心に

  • 14:2514:40  事務連絡等 


自由報告要旨

自由報告1 田中寛会員(大東文化大学名誉教授)

テーマ:日本軍政期インドネシアにおける日本語教育「ジャワ新聞」掲載記事を中心に 

発表要旨:

 帝国日本は南方日本語普及工作の一環として、軍政下のジャワ(現インドネシア)において体系的な日本語普及を試行した。その概要は倉沢(1993)をはじめとして先行研究が数点あるものの、なお全貌の解明にはいたっていない。本発表では現地で発行された「ジャワ新聞」に掲載された日本語普及・教育に関する記事を中心にその実相を明らかにする。

下記の通り、日本植民地教育史研究会第49回定例研究会を
対面(@東洋大学)とCisco Webex Meeting によるハイブリッド形式で開催いたします。

日程:2023年6月24日(土)
対面会場:東洋大学白山キャンパス6号館「6215」教室


【非会員の方へ】
  • こちらからお申し込みください。
  • ご来場になる方は6月21日(水)23:59までにお申し込みのうえ、当日、直接会場までお越しください。
  • オンラインで参加の方は6月23日(金)12:00までにお申し込みください。大会前日をめどに、Web meetingのURLやお願い事項などをお送りします。
  • オンラインでご参加される場合は、当日、直接 Meeting のリンクにアクセスしてください。その際、お申込みの際のお名前でご表示くださるようお願いいたします。

【会員の皆さんへ】
  • 東洋大学へご来場になる場合は、学内の手続きの関係上、6月21日(水)までに事務局までお名前とご所属を明記してメールにてお知らせ下さい。
  • WebミーティングのURLや発表の配付資料は、開催日直前に、会員全員にメール配信します。
  • WebミーティングのURLや配付資料は、外部に出さないようにしてください。(転載・転送不可)
  •  オンラインでご参加される場合は、当日、直接Webミーティングにアクセスしてください。その際、会員名簿にご登録のお名前の表記でご表示くださるようお願いいたします。


【タイムテーブル】下記のとおり確定いたしました(5月26日)。

・12:30  Web Meeting入室開始
・13:00  開会の挨拶(岡部芳広代表)
・13:05~15:00 『年報』第25号特集 「植民地教科書と『アジア民衆像』」検討会
  • コーディネーター:佐藤広美会員(東京家政学院大学名誉教授)
  • 報告者:井上薫会員(釧路短期大学) 宇賀神一会員(西九州大学)
・15:00〜15:15 休憩
・15:15〜16:05 自由報告①
  • 王詩淇会員(九州大学大学院生)「『満洲国』『在満朝鮮人』初等学校の日本語教科書に描かれた日本・日本人像―漢民族初等学校との比較を視点に―」
・16:05~16:10 休憩
・16:10~17:00 自由報告②
  • 魏吉菲会員(お茶の水女子大学大学院生)「日中戦争期中国華北占領地の学校における学芸会」
・17:00~17:10 事務連絡

【発表者・発表テーマ】

① 王 詩淇 会員(九州大学大学院博士後期課程)

テーマ:「満洲国」「在満朝鮮人」初等学校の日本語教科書に描かれた日本・日本人像―漢民族初等学校との比較を視点に―

 本報告では、「満洲国」「在満朝鮮人」初等学校で使われた日本語教科書に焦点を当てて、その中の日本・日本人像の特徴について、漢民族初等学校との比較を通じて分析を展開する。具体的に、両民族の教科書における「日本像」は文学、歴史、地理などに分類し、また「日本人像」は皇室、為政者、官僚・役人などに分類した上それぞれの特徴を探求する。更に、漢民族初等学校との比較を通じて、「在満朝鮮人」初等学校の日本語教科書の特徴を考察しつつ、その裏にどのような日本の対「在満朝鮮人」教育政策や統治政策の狙いが隠されているかを明らかにする。また、これらの比較分析を踏まえたうえ、日本語教科書を通じてその作成背景として存在していた「満洲国」の教育政策や民族政策などが如何に教科書に反映されているかについても分析を加えたい。


② 魏 吉菲 会員(お茶の水女子大学博士後期課程)

テーマ:日中戦争期中国華北占領地の学校における学芸会

 学芸会は子ども達の学習成果に基づき、その成果を父母たちに公開するために行われた、日本の学校独特の学校行事である。日本帝国主義は海外へ拡張していった際に、学芸会は植民地・占領地の学校教育においても取り入れられた。その中で、日中戦争期中国華北占領地の学校においても学芸会が盛んに行われた記録が残されている。当時の雑誌資料や档案館資料を手がかりに、学芸会のあり方や性格などを考察する。当時の統治側が学芸会に対していかなる期待を抱いたかを明らかにする。

特集:植民地教科書と「アジア民衆像」9784774407821

2023年 植民地教育史研究年報 第25号 目次

巻頭言 ある「つぶやき」から  岡部芳広

I.特集 植民地教科書と「アジア民衆像」
  • 日本植民地教科書にみる「アジア民衆像」 佐藤広美
  • 植民地台湾の「公学校用国語読本(第一種)」(第四期)をもう一度読む─編修課の作り手たちに関する考察を中心に─ 陳虹彣
  • 日本統治期朝鮮の教科書にみる「民衆像」研究の可能性と課題─修身書の「学校」に関する描写を事例に─ 山下達也
  • 産業の近代化のなかで問題とされた「満州国人」の能力 丸山剛史
  • 「東南アジア民衆像」の論点─アジア主義と劣等感のあいだ─ 松岡昌和
  • 植民地官僚による「アジア民衆像」─幣原坦を事例として─ 山本一生
Ⅱ.研究論文
  • 1910年代・20年代台湾の社会教育における「国語」教育─『国語捷径』(1915)を中心に─ 藤森智子
  • 「満洲国」初等学校の日本語教科書に描かれた日本人像 王詩淇
【書評】
  • 劉美蓮著・西村正男監訳・廣瀬光沙訳『音楽と戦争のロンド─台湾・日本・中国のはざまで奮闘した音楽家・江文也の生涯─』 岡部芳広
  • 李正連著『植民地朝鮮における不就学者の学び─夜学経験者のオーラル・ヒストリーをもとに─』 山下達也
  • 宇賀神一著『石森延男研究序説』 北川知子
  • 祝利著『「満洲国」教育再考─日本語教育を手がかりに─』 黒川直美
Ⅲ.書評・図書紹介

【図書紹介】
  • 上田崇仁著『電波が運んだ日本語─占領地、植民地におけるラジオ講座─』 松岡昌和
  • 北川知子著『日本統治時代・朝鮮の「国語」教科書が教えてくれること』 船越亮佑
  • 北島順子著『近代日本の植民地教育と「満洲」の運動会』 宮脇弘幸
  • 白柳弘幸著『戦時下台湾の少年少女』 中田敏夫
  • 山下達也著『学校教員たちの植民地教育史─日本統治下の朝鮮と初等教員─』 白恩正
  • 加藤聖文著『海外引揚の研究─忘却された「大日本帝国」─』 山本一生
Ⅳ.資料紹介
  • 雑誌『受験界』掲載の朝鮮人投稿者による記事一覧 佐藤由美
Ⅴ.旅の記録
  • 台中の西屯小学校を訪れて─創設期の謎を解くため─ 陳虹彣
Ⅵ.追悼 竹中憲一先生
  • 追悼 竹中憲一先生 山本一生
  • 中日両国友好交流の学者─竹中憲一先生を偲ぶ─ 斉紅深
  • 竹中憲一さんが逝ってしまった  渡部宗助
  • 竹中先生─満州教育の実相を掘り起こした人─ 宮脇弘幸
  • 竹中憲一先生を偲んで 新保敦子
  • 本研究会の再生のためのご努力に感謝 井上薫
彙報
編集後記
著者紹介
『植民地教育史研究年報』投稿要領

第26回研究大会(シンポジウム&研究部企画)は
例年の2日間開催を3月12日(日)に集約し、オンラインで開催します。
会員・非会員を問わず、多くの方のご参加を歓迎いたします。

【会員の皆さんへ】
・zoomのURLや発表の配付資料は、開催日直前に、会員全員にメール配信します。
・zoomのURLや配付資料は、外部に出さないようにしてください。(転載・転送不可)
(会員の皆さんは、当日、直接ZOOMにアクセスいただければ結構です。その際、ZOOMの表示名は、会員名簿にご登録のお名前でご設定ください。)

【非会員の皆さんへ】
・参加ご希望の方は、3月10日(金)23:59までに こちら よりお申込みください。
・大会前日をめどに、zoomのURLやお願い事項などをお送りします。


2023年 3月  12日(日)
  • 12:30〜 Zoom開室
  • 13:00〜13:05 開会の辞(岡部代表)
  • 13:05〜13:10 シンポジウム(「植民地と修身教育-台湾・朝鮮・満洲を中心に-」)趣旨説明:岡部芳広会員   
  • 13:10〜13:30 報告1(満洲):王雯雯会員
  • 13:30〜13:50 報告2(朝鮮):山下達也会員
  • 13:50〜14:10 報告3(台湾):白柳弘幸会員
  • 14:10〜15:00 総合討論・質疑応答
  • 15:00〜15:15 休憩
  • 15:15〜15:45 研究部企画1(発表20分/質疑応答等10分)ブックレットについて:合津美穂会員
  • 15:45〜16:15 研究部企画2(発表20分/質疑応答等10分)研究方法論について:アンドリュー・ホール会員
  • 16:15〜 休憩
  • 16:30〜17:10 総会
  • 17:10     大会終了


***シンポジウム概要***

テーマ:植民地と修身教育-台湾・朝鮮・満洲を中心に-

開催趣旨)岡部芳広会員(相模女子大学)
  • 1880(明治13)年の改正教育令で筆頭科目になった「修身」は、その後敗戦まで日本の教育の中核にあり、教育全体はもとより、国民生活に対して広く影響をもたらすこととなった。各植民地においても修身教育は展開されたが、その在り方は自ずとそれぞれの地域によって違いが見られるものと思われる。しかし、本研究会はこれまで、修身教育をシンポジウムのテーマに据えたことはなく、一部会員による論考が科研報告書や年報に発表されるにとどまっていた。そういった状況を踏まえ、本研究会において植民地における修身教育の在り方や意味を検討する端緒とすべく、今回のシンポジウムのテーマを設定した。修身で扱われる内容は、儒教的徳目、天皇制にかかわるもの(教育勅語・日の丸・君が代などを含む)などが日本と植民地共通のものであろうが、さらに植民地として特に重視された内容もあり、その教育内容全般だけでなく、重点項目がどのように扱われたのかを検討する必要がある。また、分析・検討にあたっては、植民地政策としてどのような意図があったのか/教員はどのように実践したのか/学習者はどのように受容したのか、といった構造を意識することも必要であろう。今回の台湾・朝鮮・満洲についての報告と討論をきっかけに、「植民地と修身教育」についての議論が発展していくことを期待したい。
報告1)王雯雯会員(九州大学博士後期課程)
「満州国における女子中等教育の修身教育の特徴―修身に関する理念/実践/受容の三層構造からの考察に基づいて―」
  • 本報告では満州国の女子中等教育の修身に関する教育政策、及び教師と学生の観点と態度をめぐり、理念(為政者の計画)/実践(教員)/受容(学習者)の三層構造から満州国における女子中等教育の修身教育の特徴を明らかにし、この三層構造がどのように重なり、どのようにずれているのかを示す。分析対象は主に『奉天教育』を中心に、また一部は『建国教育』と『満州教育』の記録で、教員の修身に関する発言や口述史に関する記録について分析します。また、奉天女子師範中学校の学校刊「興仁季刊」と萃文女子中学校の学校刊「萃文季刊」・口述史『「満州」オーラルヒストリー ― “奴隷化教育”に抗して』(竹中憲一訳,2004)と『见证日本侵华殖民教育』(2005)の分析から、女性の修身に関する観点と内容を示し、修身の理念が地元の女子学生に受け入れられていたかどうかを分析する。
報告2)山下達也会員(明治大学)
「日本統治期朝鮮における修身教育―教科書・実践研究を手がかりに―」
  • 本報告では、日本統治期朝鮮における修身教育の内容・特徴について、教科書や教員らによる実践研究をてがかりに論じる。教科書については、教授事項・内容にとどまらず、その背後にある編纂の趣意や経緯に関する史料に触れる。教員らの実践研究については、おもに朝鮮初等教育研究会の活動に着目し、教材の解説や実践への提言について紹介する。これらを通じて、朝鮮の修身教育が理念・実践の両面でいかなる独自性を持ち、特に天皇制や国体、教育勅語、公衆衛生等についてどのように朝鮮人児童たちに教えようとしていたかに迫りたい。
報告3)白柳弘幸会員(玉川大学学術研究所特別研究員)
「植民地統治下台湾における修身教育―成立と展開、その受容―」
  • 植民地統治開始後の台湾初等教育の中で、とりわけ修身教育に明治維新後の国民教育の中心となる教育政策がどのような影響を与えたかについてふれる。国定『修身書』と同様に台湾総督府『修身書』においても編纂の柱となったのは徳目主義と人物主義であった。民間人として一番多く取り上げられた二宮尊徳を例にして、総督府の教育政策のねらいについて述べる。昭和初期に台湾人児童生徒たちに行われた修身教育への意識調査、さらに台湾師範大学台湾史研究所にて 2004 年から約半年間行われた、統治下の教育を受けた 200 余名についての調査結果にふれ、新たな問題が台湾の研究者から提示されていることを知らせる。

*研究部企画「研究会の現在地を知り、研究方法論を鍛える」*
企画趣旨(研究部)
  • 昨年発足25周年を迎えた本研究会では、設立当初のメンバーから次の世代へとその精神が継承されつつあります。こうした過渡期にこそ、研究の蓄積を整理して今後の展望を得る作業が必要になると思われます。その意味で、第48回定例研究会(2022 年11月13日)の佐藤由美会員のご報告「日本統治下台湾・朝鮮の『留学生』研究における課題」は、これまで植民地教育史研究を牽引してきた佐藤会員から研究に向かう課題意識や研究方法、資料分析の視点などを学ぶ好機となり、研究会全体で研究方法論を共有し鍛えていく道筋が示されたものと考えております。
  • 以上のような思いから、研究部では今大会で、1)会員の自薦・他薦によって進められ、現在までに8冊が刊行された『植民地教育史ブックレット』(風響社)に関して、現在執筆を進めておられる合津美穂会員から構想や内容についてご報告いただくこと、2)「満洲・満洲国」や朝鮮を対象に研究を進めてこられたアンドリュー・ホール会員から、研究手法についてご発表いただくことの二つの企画を実施することといたしました。

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